著者であるディーノ・ブッツァーティの名を知っている方は
きっと日本では多くないとは思うがイタリア文学界では最も権威ある文学賞である「ストレーガ賞」を受賞しており、20世紀イタリア文学を代表する作家である。 そんな彼の短編集で、『神を見た犬』というのも22の短編の表題の一つである。 ウィットに富んだ、強烈なユーモアともいうべき魅力的な短編が詰まっている。 ブッツァーティは魔術的幻想文学とも呼ばれている。 ローマ教皇庁(バチカン市国)のお膝元であるイタリアのキリスト教文化のなかで育ち、元ジャーナリストとしての客観性も相まってまるでキリスト教を対岸から眺めているかのような冷酷かつ透明感のあるシニカルさにハッとさせられる方も多いのではなかろうか 類まれなる感性から織りなされる物語から 我々の心の奥底にある不安や恐怖、 さまざまな強迫観念が容赦なく突き付けられ ぞくりと身を震わせながらも読み進めてしまう ”モノトーンの哀切きわまりない幻想と恐怖が横溢する、孤高の美の世界22篇” あなたはどの作品が刺さったか そう語り合うだけでも楽しい夜になるだろう
蒼山継人