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フォーラム記事

ふくろう
認定ライター
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2021年12月06日
In 「沈黙の春」
海洋生物学者レイチェル・カーソンの代表作。 誰よりも自然を愛し、産業化の波が加速していた時代に、いち早く環境保護を唱えた女性エコロジストの第一人者である。 表紙カバーには、印象的な黄色い花の写真が採用されています(2001年版は「ゴゼンタチバナ」)。 手にした時ふと思ったが、この花の名前が一向にわからない。カタバミ??かなと思いながら調べてみると、「キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪)」というスミレ科の花に辿り着いた。葉の形が馬の蹄に似ていることからその名が付けられており、現在でも絶滅が危惧されている花のようだ。 ちなみに、本書の少し前に書かれた、 『センス・オブ・ワンダー(2002年版)』の表紙カバーは「イチヤクソウ」です。 本書のテーマは『環境保護』である。 この本の冒頭は、誰もが息をひそめるような恐ろしい描写から始まります———『自然は、沈黙した。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。』 鳥は「自然の番人」なのである。そこから、化学薬品(DDT)の乱用が自然界にもたらす甚大な影響について、当時の科学的根拠を基に、繰り返し繰り返し冷静に事実を積み重ねていきます。 60年前に書かれていますから、現在ではDDT使用における自然環境への良し悪しについては解釈を異にするケースもあるかと思いますが、女史は一貫して、生物学的コントロールの大切さと、次世代へ美しい自然を残すために、「深い洞察力」を持って欲しいと主張しています。 ベストセラーとして、世界中に環境保護の先鞭をつけた名著です。世界を変えた一冊ともいえます。 環境や多様性という概念がまだ定着していない時代に、複雑であるがゆえに自然界の均衡(バランス)を維持することの難しさや、世界中に化学薬品によって苦しむ人々やたくさんの動物たちがいるという事実について、目を背けることなく書き綴っています。 また、本書のいたる所に愛語が散りばめられており、女史の自然への愛や畏敬の念が垣間見れるはずです。翻訳した青樹簗一さんも見事である。 ​是非一度手にとって頂きたいと思います。 ふくろう
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ふくろう
認定ライター
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2021年11月06日
In 伝説の株必勝法「W.D.ギャンの28鉄則」
株式投資における「正しい質問」を考える——— 今年3月にETF買い付け方針の変更を発表した日銀、日経平均が大きく下落した時だけ買い支えるという。 9月には久しぶりの買い付けがあったが、以前のような買い支えは見られず、賢明な投資家ならば今後の将来予測が必要な時期ではないだろうか。 日銀はインフレにすることを目的に金融緩和を続けてきたわけだが、売り抜ける算段を講じ、その役割を終える時期が来ているのかもしれない——— ​ アベノミクスで株価は上昇、企業の内部留保がなければ賃金は上がり、好循環が生まれデフレ脱却もできていたはずだが、企業経営者は馬鹿ではない。実態のない株価は日銀の買い支えが原因であると誰もが正しく理解していた。だが、それでも株価が上がったという事実は動かない。投資家にとって重要なことはこの一点に尽きる。 疑いようがなく、正しい答えを作っているのは国や日銀の方針である。資金流入が見込める国策の流れに乗ることが利益を最大化する。現状なら「日本製鉄」だろう、頑張って貰いたいと思う。 コロナにより、ワクチンによって個人の自由が制限され、共産化の流れが世界中で起きている。暫くこの流れは止まらないだろう。しかし、だからこそこれから日経平均は令和バブルを迎える——— 矛盾しているように聞こえるかもしれないが、コロナ復興で国内に資金が循環し、国は政策でそれを後押しする形となる。また、売り抜ける為に日銀は無理やりにでも株価を吊り上げなければならない。提灯を灯せば経験の浅い個人投資家が飛びつく。どれだけの枚数を日銀が保有しているのかを考えれば答えは容易に判るだろう。 買ってくれる人がいなければ売れないのだから——— その日は突然やってくる。 投資家の視点で考えるなら、国や日銀の方針に逆らってはいけない。彼らが潤っている間は過度な納税負担がないのと同じで、貧しくなれば国民に負担を強いるのはいつの時代も疑いようのない事実である。潤っているぐらいが国民にとっては丁度良いのだ。 インフレになれば日銀はデフレ政策にシフトする、株式投資など即刻止めるべきだ。NISAの斡旋や市場時間の延長を考えれば、売り抜けるために囲い込みをしているのがわかるのではないだろうか。MMTも叫ばれている、これは否定できるものではないが、災害や地政学リスクの前ではこれも理論が破綻する。デフォルトは絶対にないだと?馬鹿なことを言ってはいけない。本物のパンデミックはこれからなのだから。 ​ 利益を最大化したいなら、上昇トレンドの国策貸借銘柄を現物保有しておくこと。地合いの悪い時には、日計りで同銘柄を売り建てることができればヘッジにもなる。両建てを駆使することで機会損失を減らし、中長期で利益を最大化していく。これが現在最も効果的なトレード方法であると思われる。発達したアルゴリズムの前では、経験に学ぶ個人投資家など勝てる筈もない。 ​ ギャンの28鉄則は、これからの難しい相場局面を生き残る為に必ずや投資家を守ってくれることだろう。 歴史から学んで欲しいと思う。 ふくろう 2021.10.18
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ふくろう
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2021年11月06日
In THE HUNGRY SPIRIT これからの生き方と働き方
著者チャールズ・ハンディは、資本主義が多くの成果をもたらしたのは事実としながらも、行き過ぎた効率主義や利己主義が生み出す閉鎖的な社会と市場に対する問題を指摘しています。 本来の人生の目的を見出すことを哲学として、自己探求心と顧客を最優先する考え方やそのシステム造りの重要性を説き、この行き詰った状況を変えるのは、日本をはじめとする東洋諸国が行動を起こすことであると大きな期待を寄せています。 ▶資本主義の歪み ▶正当な利己性の主張 ▶サンセポルクロの「キリストの復活」 ▶長期的成長には適応効率 ▶ノーベル賞作家デレック・ウォルコットを引用した白い小石  の話 ▶開かれた問題とそれに取り組む企業の紹介 ▶雇用ではなく顧客を探すこと、またその能力を高める ▶自信が持てない若者には手本となりうる大人と知り合う機会    が不足している ▶無形資産の属性                                                    など 本書が刊行されたのは1997年である——— 著者の見識の高さや調査力、分析力、人間性には感服いたします。引き寄せなのかシンクロと呼ぶべきなのか、私の中にずっとあったモヤモヤが本書との出会いを生んでくれたのかもしれません。 著書の中にある、「質問の正解を知っていることと、状況を変えられることは同じではない。」というメッセージは、若者をはじめ、現代を生きる私たちが最も直面している問題なのではないでしょうか。どう対処すべきなのかという「開かれた問題」に対し、その解決策や取り組みについて多くの事例を紹介しています。 著者が語る、 争わせようとするのではなく、結び付けようとする形が必要なのではないか——— 企業で働く社員を市民と呼び、正当な責任の下で企業も個人も無形資産で繋がっていく。 これからの私たちには、そのような意識改革、学びの機会を作ることが求められており、今まさに行動を起こす時なのではないでしょうか。その最適な手段を、著者は本書で教えてくれています。 最後に少し話が逸れますが、 著者の資本主義に対する考え方や人生観、哲学については、モーガン・フリーマン主演の映画「最高の人生の見つけ方」を思い出させます。余命宣告されるという共通点以外は全く異なる二人でしたが、とあるコーヒー豆の話題が二人を強く結びつけていきます。貧しくも知識人であり、エベレストを愛するひとりの男性と、資本主義の象徴ともいえるピラミッド(比喩として)を愛したひとりの男性。いがみ合ったり、すれ違ったりしながらも、人は関わりあいのなかでしか幸せや喜びは感じられないという事実に気付き、映画の最後にはお互いへの感謝を述べています。 人は、生まれ持った資質を覆すことができる———変わるなら、いまだ。 そう述べて、筆者は本書を締め括っています。これほどの知見に触れる機会は、そうあるものではないでしょう。ぜひ一度、本書を手に取っていただきたいと思います。 ふくろう 2021.10.20
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